『ローレライ』

ローレライ』 ★★☆
製作国:日本 公開年:2005 配給:東宝 上映時間:128 分
監督:樋口真嗣 原作:福井晴敏 脚本:鈴木智 音楽:佐藤直紀
出演:役所広司/妻夫木聡/柳葉敏郎/香椎由宇/石黒賢/佐藤隆太/ピエール瀧/上川隆也/堤真一

試写会で観て来ました。
ネタバレしないと感想書けなかったんで、ネタバレしまくりです。なので核心部分は反転にしてあります。



映画の内容としては全く期待してませんでした。失礼だけど、『面白くなさそうオーラ』に漲った映画ですよね。もう映画の面白さには期待せず、豪華なキャストだけを楽しもうかなと。そんな姿勢で映画に臨んだ次第ですが。
いや、でもまたまた失礼発言だけど、そこまで酷い映画じゃなかったですよ。全然、まとも。ちゃんと観れます。話の破綻もあんまり無いし、戦争映画の割にはストーリーも分かり難くなかったです。
ただ、ふっつーなんですよね・・・・。これと言ってムッチャ貶す所も無ければ、誉める所も無い。こういう映画が一番、感想書き難いんですよね・・・トホホ。・。
トホホっつーたら、巨額の制作費、豪華キャストを使った割にはスケールが小さいっつーか、地味っつーか、盛り上がりに欠けるっつーかね・・・・こんだけコマが揃ってたら、もっと面白く出来んじゃねぇの?って意地悪な感想を持ってしまいます。この映画、3億円ぐらいで作ったんなら物凄く誉めれるけどね。なんつーか、勿体無い。15億の巨額な予算の限りを尽くして、小百合ちゃん萌えオンリー映画を作ってしまった『北の零年』を思うと、潜水艦だの戦艦だのがわんさか出てくる割りには、耳に悪そうな爆音に次ぐ爆音の割には、地味だな『ローレライ』はと。今回の大作対決は東映の勝ち!我ながらなんつー比べ方だとは思うけど・・・・・映画として『北の零年』のが盛り上がりがあったなぁ。

ストーリーについてはベストセラーの原作読んでないし、この映画が原作にどこまで忠実なのか分からないけど、あんまり共感出来ないというか。
そもそも伊507が玉砕覚悟で戦いに向かう理由が・・・・堤真一がただのキチ●イにしか見えないのが問題なんだろうな。これは堤真一演ずる朝倉大佐のバックグラウンドが殆ど描かれてなかったせいだと思います。朝倉大佐がもっと魅力的な人物に描かれていれば、いや、朝倉大佐の無念が伝わってさえくれば、大佐の暴挙に多くの人が加担するのも納得出来るんだけど、その辺が弱いからどいつもこいつもアホばっかりという印象を持ってしまいます。だから、ピエール瀧の心変わりも弱いっつーか、呆気無いっつーか。そんなすぐに改心するんだったら、最初っからしょうむない事すんな!と思ってしまいましたよ。そんな事言い始めたら映画にならないんだけどさ。いや、ホント、堤真一の人物像がきっちりと描かれてるだけで、映画の印象ががらっと変わると思うんですがどうざんしょ?
怪しい奴がそのまんま怪しいのもなぁ。途中の裏切りとか全然ドキドキしなかったしな。あ、やっぱりなって感じで。それと戦争映画ってキャラクターの死に際が肝心だと思うんですけど、どれも弱い。

肝心な部分が物凄く弱いから、どうもつまんない印象を受けるんだけど、『ローレライシステム』は凄く斬新に思いました。あれだけで戦況が変わるの分かるわ。凄いもんな。あのシステムで戦争が始まってもおかしくないですね。だから、『ローレライ』の奪い合いで争いになる部分はかなり説得力ありました。だから、戦闘部分は面白かったです。史実とフィクションが上手く絡んでたしね。


キャストについては、やっぱ役所広司スゲーなと。この映画、役所さんの存在感で持ってる映画って言ってもいいんじゃないかな。絹見艦長がすっごく魅力的でね。だから、観れる映画になってるんですよ。この艦長がしょぼい俳優だったら、もっとグダグダで緊張感の無い映画になってたと思います。
北の零年』と違って、この映画は役所萌えオンリー映画では無いんだけど、勿論、妻夫木君も大活躍するんだけど・・・・あんまり妻夫木君の存在感は無いかな。(笑)これ、いっそ開き直ってオッサン萌え映画にした方が面白かったかもしらんなぁ。
唯一の女性キャラ、パウラ役の香椎由宇ちゃんは綺麗で良かったですね。あの生活感の無さがロボットみたいな役にピッタリ。上手くハマってたと思います。
あとは、石黒賢柳葉敏郎・・・・・とどうもフジのドラマを見てるような錯覚に陥る俳優達がかなり重要な役だったんだけど、石黒賢は見るからに怪しいし、柳葉はいつもの柳葉だし。何か安い感じがしたなぁ。他の人で見たかったかも。それと鶴見辰吾がすっごく浮いてた!私、この人大好きなんですけど・・・・・何故だか、物凄く下手くそに見えました。一番、合ってなかったんじゃないかな。残念。
それと佐藤隆太君。かんなり見事な肩透かしを食らわせて頂きました。私は隆太君好きなのでちょっと憤りすら感じましたよ。何じゃい、あんな思わせぶりなキャラのクセに、ものっそ華々しく散るんかと思ったらそんなしょうむない死に方かい!って。こういう映画って見てる時に、『あ、コイツはきっと凄い泣ける死に方するんだろうな』って予測立てて見たりしませんか?私だけですか?隆太君のキャラは正に鉄板でそのキャラだったんですよ。妻夫木君庇って死ぬとか、敵に向かって玉砕するとか、そういうキャラでしょう彼は。その為にあのスマイルを起用したん違うんかい!と。・・・・あれだったら、本当にちょびっとで顔も一瞬しか映らない忍成修吾のがよっぽど美味しい役なんじゃ・・・・・。この映画を観た後の佐藤隆太ファンの感想を是非聞きたいです。あの副電源を起動する時なんかさ、柳葉に行かせないで若い子に行かせろよと。まぁ、あの場面も何が原因で死んだんかさっぱり分からんから全然泣けもせんかったんですけど。本当に死に方が弱い映画だよなぁ。それが見せ場でしょうが。
逆に何故かしぶとく生きていたピエール瀧がやたら美味しかったね!最後もビシッと活躍してたし。あんなに格好良いピエールを観れる映画なんて今世紀中には無いかもしれません。ピエールファンはDVDの予約を今からしておくように。


役所広司ピエール瀧のファンは1800円払っても十分。
妻夫木聡ファンはレディースディに観に行くように。せめて前売り券で。1800円も払っちゃダメです。

それと余談なんですが、この試写会を観た後に、オバちゃんが大きな声で「最後、B-29を爆撃したのに核爆弾が爆発しないのはおかしい」と文句言ってたんですが、核爆弾というのは爆発させないと爆発しないんです。例え、戦闘機が墜落しても誘爆しません。でないと自滅しちゃうからね。あしからず。