『フライ,ダディ,フライ』

フライ,ダディ,フライ』 ★★★★
製作国:日本 公開年:2005 配給:東映 上映時間:121 分
監督:成島出 原作:金城一紀 脚本:金城一紀
出演:岡田准一/堤真一/須藤元気/星井七瀬/松尾敏伸/愛華みれ/塩見三省/坂本真/青木崇高/浅野和之/温水洋一/徳井優/大河内浩/田口浩正/モロ師岡/他


言うまでもなく原作は読んでません。
こりゃ、卑怯な映画だよなぁ。岡田准一が格好良過ぎですよ。どこを切っても格好良い岡田准一しか出てこないですよ。どういうこったい。・・・・・・・・いやいや、しかし、岡田准一が死ぬ程格好良いんだけど、格好悪い筈の堤真一を大好きになれる映画でもあります。父・堤真一の成長していく過程の描写が凄く丁寧に描かれてるので、誰でも堤真一に共感出来るんじゃないかなぁ。逆に岡田准一演じるスンシンは少しだけ弱さを見せるけど、でも、映画の中では比較的完成された人間として描かれてるからさー。これ、本当は逆だと思うんだけどね。本当は大人の方の鈴木が出来上がった人間で、成長しなきゃいけないのはスンシンじゃないのかなぁ。スンシンが鈴木に格闘の指南をしながら、それによって成長していくって話じゃないかと思うんだけど。だから、主人公がスンシンなのでは?でも、この映画は残念ながらそこの要素が薄いんだよね。鈴木の成長は気持ち良いぐらい描けてるのに、スンシンの成長はあまり描かれないまま終わっちゃってる。スンシン、物凄く格好良かったんだけどねー。残念ながらスンシン側はエピソードが薄いんだよなぁ。スンシンの葛藤が描けてないって訳じゃないんだけどさ。ちょっと恰好良いだけで終わっちゃったかな。スンシンの友人達は出番少ないながらもかなり魅力的に見えるんだけどねぇ。そこだけが勿体無かった。ま〜岡田准一が演じてるだけでスンシンは魅力百倍なんだけどさ。(笑)
と、まぁ、苦言を先に書きましたけど・・・・・・すっごく面白かったんですよ!かなりヒットです。この映画を観終った後の爽快感ってば凄いですよ。なんだろ、観終った後に妙にアドレナリンが分泌されるというか・・・・・・・・・しばらくの間は無敵キノコ(※『スーパーマリオブラザーズ』)を食った時のマリオみたいな気分になれますよ。あの、「何でもかかって来いやぁ〜〜〜!!」って調子に乗ってBダッシュしてピッカピカ光ったまま溝に落ちて死んでしまう(怒)無敵キノコね。ちょっと鏡見てスパーリングでもしたろかいな、ぐらいな。ガチでバカになってみようかな、的な。え?そんな単純なの私だけ?ほんもんのガチバカ??かかって来いやぁ〜〜〜!!(※クスリはやっておりません)
これは物凄い昂揚感と爽快感を味わえる作品だと思いますね。最後の最後まで盛り上がりを失速させずに、そのまま盛り上がりっ放しで終わらせた監督の演出&構成手腕はお見事です。あの抜けるような青空も効果的なんだろうね〜〜空がすっごい綺麗だった。スカっと爽やかコカコーラ的な映画です。爽やかテイスティ。冷静になってみると、お話的に上手く行き過ぎてる部分は多々あるんだけど、映画観てる時は全然それが気にならないの。ただ、ずーーっと脇見もせず前に向かって走ってるって感じなのよね。鈴木パパがずっと走り続けてる。その疾走感がいいんだろうなぁ。だから、スンシン側があまり描かれてないのは仕方ないのかもしれない。パパが突っ走る映画だから。あ、だから『フライ,ダディ,フライ』なのか。パパ勢いつき過ぎて飛んじゃったよ〜〜ぐらいだわ。この映画の堤真一ならちょっと頑張りゃ飛べそうな気がするもん。(笑)うん、そういうワクワク感がいいんだな。
この映画の爽快感って初期の宮崎駿アニメに通ずる爽快感だな〜って。ほんと気持ちよいの。よくよく考えると、スンシンを取り巻く高校生グループも、鈴木の帰宅に利用するバスに乗り合わせるサラリーマン達も宮崎駿のアニメ的キャラ達だわ。ちょこちょこっと出てくる割にはキャラが立ってて、印象に残るし。高校生達は生き生きしてるし、鈴木と同じバスに乗り合わせるサラリーマンズもすごーーくストーリーに華を添えてると思うわ。なんだか宮崎駿絵のぬっくん(温水洋一)が浮かぶもの。浅野和之が浮かぶもの。あ、そうそう、須藤元気がなかなか良い演技してて驚いたよ。憎たらしい〜〜役を本当に憎たらしく演じてたよ。なかなかお上手でした。あんまりに憎たらしい感じが上手いから、しばらく須藤元気って気付かなかったもんね。普通の役者さんと思ってた。それにしても坂本真のキャラクターは卑怯だなぁ。どれ観ても一緒なのに、妙にあのキャラに安心するんだな。ありゃ、確信犯だわ。第2の伊藤淳史かもしんない。

こ〜〜スカっとしたい気分の時には凄くオススメ。引っ掛かり無く見れるいい映画だと思いますよ。目の保養にもなるしね。(笑)岡田准一堤真一も良い男だ。あ、今までそんなに注目してなかった松尾敏伸君も良かったね。彼は『さよならみどりちゃん』も良かったんですよ。これからに期待ですね。