『デスノート the Last name(後編)』

デスノート the Last name(後編)』 ★★★★
製作国:日本 公開年:2006 配給:ワーナー 上映時間:140 分
監督:金子修介 原作:大場つぐみ/小畑健 脚本:大石哲也
出演:藤原竜也/松山ケンイチ/戸田恵梨香/片瀬那奈/マギー/上原さくら/青山草太/小松みゆき/前田愛/板尾創路/津川雅彦/藤村俊二/鹿賀丈史/他
声の出演:中村獅童/池畑慎之介/

デスノート』は前編のテレビで観て、それなりに良く出来た映画ではあるけど、そこまで面白くは感じなかったので、DVDになった時でいいやーと思ってたんですが、巷で評判も良く、そして知人のオススメもありという事で、観に行こう観に行こうと、そして先日ようやく観る事が叶いました。ウチの近くのシネコンでは先週のレディースディはチケット完売してました。相当人気が高いんでしょうね。で、映画はその人気が十分見て取れる面白さは感じました。話の筋書きは前編とは比べ物にならない程凝っていてスリリング。前編では天才VS天才の頭脳戦というのが、イマイチ天才的には感じなかったんだけど、後編の頭脳戦はかなり見物。死神の存在、名前を書けばその人物が死ぬという死を操れるデスノートという荒唐無稽な設定の中で、『そんなモンあったら何でもありやんけ』という事にはならず、そういう架空の設定内での攻防戦がきっちりと構成されてて、世界観を最大限に利用しつつ、その世界観からはみ出さなかったのはお見事。ハイ、とても面白かったです・・・・・・・・・ただ。
ただ、ですね。話の筋は面白いんだけど、本当に筋立てばっかりで、重みに欠けるというか、1回話のカラクリを知っちゃったら、もうその1回を観れば満足かなぁって思ったりもして。観てる最中はすっごく面白く感じてたのにあんまり何回も観たいな〜〜っては思わないの。私にとっては、リピートして観ようっては思わない映画なんですよね。理由は軽いから。これはある意味仕方ない部分ではあるんですけどね。話の筋を面白くスリリングにする為にそこに時間を使って、それ以外に使う時間は出来るだけ削ぎ落として、2時間20分の中にきっちりと筋書きを押し込めてあるんでるもん。ただ、やっぱ削ぎ落とされ過ぎて軽くなっちゃったのが残念。でも、削ぎ落とさないと、上映時間内にあの筋書きを納める事はなかなか出来なかったろうからしょうがないのかな。でもさ〜〜やっぱ人の死が物凄く軽く扱われちゃってる感は否めないよな〜。本当映画の中で人が簡単にコロコロ死んでいくんですよ。軽く麻痺するぐらいに。それがね〜〜ま、ちょっと引っ掛かる所ではあるかしらん。あと、どうしても人物描写がおざなりになってる感じがしたわ。もうちょっと主人公の夜神月を深みのある人物に描けなかったものかな〜〜ライバルのLばかりが良く見えちゃって、なんか勿体無かった。夜神月という人物像もだけど、彼と他の関係、特に父親の関係がもっと描けてたら、私、この作品を大好きになれたと思うんですよ。あと、Lと月の頭脳戦以外のやり取りとかね。話の展開を知った上で、もう1回、もう2回と観たくなる要素ってそういう部分だったりするんですよね。
でも、この映画ではとにかくLって人物がとても魅力的に描かれているので、もう、このキャラクターだけを観る為に何回も観れる映画って言ってもいいかもしれない。これはもう主役の藤原竜也が気の毒に思えるぐらいLが魅力的でした。Lって今までの漫画キャラクターの面白みを寄せ集めたような卑怯キャラではあるんだけど、それをきっちりと具現化していた松山ケンイチはお見事。松山ケンイチには参りましたと言うしかないわ。凄く良かったです。このLを主役にしたスピンオフ映画が製作されるそうですが、これはもうやって当然でしょって。だって凄くいいキャラだもん。卑怯なんだもん。スピンオフってあんまり好きじゃないんだけど、このLに関してはしないと勿体無いよって思うぐらい。(笑)デスノートの漫画も読んだ事ないし、そこまでこのLってキャラクターにのめり込んではいないけど、Lが主人公の映画ってのは観てみたいと思いますもんね。
肝心の藤原竜也の方は夜神月という人物が掘り下げられてない分、芝居臭さが鼻についたかしらん。もうちょっとあっさりと演じて欲しかったかも。戸田恵梨香、片瀬奈那はそれぞれ良かった。でも、主要人物以外の俳優がちょっと・・・・・・・・・ちょっとのセリフを喋る人物も意外と大事なんだなってこの映画を観て思いましたね。なんか時々ガクってなる時があったわ。(苦笑)こんなちょい役だけにこんないい俳優使うの勿体無い!って思う時がよくあるんだけど、ちょっとだけでも映画の世界に入れるからなんだよね。いや、良く分かりました。あ、そうそう、もう1人の死神・レムの声を池畑慎之介(ピーター)がやってたんだね!クレジット見て初めて知ったんだけど、すっごい良かった。人ならぬ者の声を上手く表現してましたよ。格好良かった〜〜〜。私、もう1回レムの声を確認する為だけに前にテレビで録画した後編のプロローグ見たもん。(笑)








=======※以後ネタバレあり=======

一つ気になったっていうのか・・・・・・・・・・・・・ま、私がちゃんと理解出来てなかったんでしょうが、途中、2冊しか無いデスノートが3冊以上あるように感じて、ちょっと???ってなっちゃったんですよ。途中からかなり真剣に観てたんだけど、あれ?ここにも1冊?えええ???って首を傾げてしまいました。死神って各自が自分のデスノート持ってるんだ〜〜と後で、あ〜〜とは納得出来たんだけど。あと、Lが死神を利用して月を騙したくだりがちょっと?ってなりました。いつの間にそんなに死神通になったんだ。どうしてLがレムが海砂を守る為に自分の名をデスノートに記すとまで推理出来たのか?私には分かりませんでした。そんな描写ありましたっけ?ま〜〜そんだけLが何でも察して分かっちゃう天才だって事だろ〜〜で片付けましたけど。・・・・・・・・・・・・あれ?もう1回観た方がいいのかな?(笑)

最後の展開に付いては賛否両論あるでしょうね。私はどうかな〜〜〜面白いとは思うんだけど、好きか嫌いかっていうと、あまり好きではないかも。でも、ほんの短いLの描写(夜神総一郎に見せた僅かな笑顔とワタリの写真)で凄くグっときたので、あそこで映画が締まったと思ってます。あの短い描写でLという人物の魅力の最大限を出せていたのでは。その分、夜神月もそういう描写が欲しかったかな。★3つ半か★4つか悩んだんだけど、最後のLの表情が忘れられないので星4つで。