最近観た映画。

映画も溜まり過ぎてもう何がなにやら。全部書いてくとキリがないので、取り合えず抜粋して。あ、レンタル解禁になったので、『アフタースクール』と『ダークナイト』の2回目を観れました。両方、2回観ても面白かったなー。特に『アフタースクール』なんかは2回目は全く違う映画だからね。あれは2回観なきゃ損。大泉洋と内田けんじのコメンタリーも付いてたので3回観ちゃった。あんな酷いコメンタリー初めて聞きました。(笑)気になる人はレンタルにもコメンタリー付いてるのでどうぞ。『ダークナイト』はDVD買ってもいいなぁ。

『誰も守ってくれない』 ★★★

マンマ・ミーア!』 ★★☆

ブラインドネス』 ★★★

隠し砦の三悪人〜THE LAST PRINCESS』 ★

『REC』 ★★★

『モンゴル』 ★★★


『誰も守ってくれない』試写で観ました。脚本家の君塚良一の初監督作品で、脚本がモントリオール映画祭で最優秀脚本賞を取ったという話題作。これはざっくりと説明するなら犯罪加害者の家族を守る刑事の物語です。その刑事が佐藤浩市で、守られる側の加害者の妹役が志田未来。その他、松田龍平とか佐々木蔵之介とか木村佳乃石田ゆり子柳葉敏郎・・・・・・・・ってフジテレビ臭が漂ってくるキャストですが、その通りのフジ映画。まー『踊る大捜査線』の君塚さんだしね〜当たり前のように亀山千広プロデューサーの名が。ま、これは完全オリジナルの映画なんですけど。ただ、この映画の前のエピソードをドラマ化したのが映画上映日の1/24の土曜プレミアムでやるようですね。これは映画の中の若手刑事役の松田龍平のキャラがとても良かったので観たいと思います。んで、映画ですか。カテゴリー分けするなら周防正行の『それでもボクはやってない』に近いのかなー。犯罪加害者の家族という立場に置かれると、どのような苦境に合い、その苦境から犯罪加害者の家族は法によりどこまで守られるのか。そして法がどれだけ無力か。そこら辺が事細かに描かれてます。特に前半の展開はスリリングで秀逸。君塚さんが10年越しで取材調査をしたらしいです・・・・・・そこも『それでも〜』に似てますな。念入りに取材したんだろうな〜ってシーンが端々出て来ます。が。これはな〜〜〜エンターテイメント性を強調したかったんだろうけど、せっかく地道な取材で築かれた物が、後半の方で誇張し過ぎてどんどん崩れていくというか・・・・・・・・・・・・・ちょっと行き過ぎてしまって、冷めてしまうんですよね〜。特にネットの悪意の描き方が酷い。あそこの描き方が酷過ぎて、途中から犯罪加害者の家族の保護がどうとかっていう論点がぼやけてるように感じてしまう。加害者の家族以外にも、被害者の家族の事にも触れられていて、佐藤浩市演じる刑事もそこに通じる傷を抱えて・・・・・・とその辺の交流はいいんだけどね。あと、思いの外、主役の刑事である佐藤浩市の視点が強くて、犯罪加害者の家族である志田未来の方の描写が薄く、しかも彼女が何度も腑に落ちない言動をするので、感情移入し難いんですよ。つーか、志田未来の役にかなりムカつく。(苦笑)しかも志田未来仏頂面がそれを何倍増しにもしてくれてます。うーん、もうちょっと加害者の家族の部分をしっかり描いて欲しかったな〜。まぁ、そのせいで観客側の気持ちが、被害者側に寄ったり加害者側に寄ったりと、色んな視点で観れてるのかもしれませんけどね。加害者の家族にばかり同情的な目線になってしまうのはこの映画の本質ではないだろうし。ただ、誰が見てもこの映画の佐藤浩市は可哀相だ。(笑)しかし、普通の生活を送ってても、自分が加害者の立場に置かれないとも限らないし、増してや、加害者の家族という立場ならその確率だって決して低いもんではないんだろうし。そう考えるとめちゃめちゃ怖い映画です。だからもうちょっと丁寧に描いて欲しかったかな。『それでもボクはやってない』の時と同様に、何度も観たいと思わないけど、一度は観て色々と考えるのも良いと思います。

マンマ・ミーア!これは昨年の12月の始めに見たので随分お先に試写で観たって事になるのかな。1月30日公開の映画なんで。最初に言っておきます。私はミュージカルが苦手です。いや〜〜この映画、久し振りに私がミュージカルを苦手なんだって思い知らされましたわ。これもね〜大好きな『ヘアスプレー』同様のバカ映画なんだけど、なんか最後まで乗れなかったのね。おバカでハッピーなミュージカル映画って『ヘアスプレー』と全く同じカテゴリーなんだけど。あれは突然歌い出したり踊り出したりが全然恥ずかしくならなかったのに、こっちは観てて居た堪れない気分になる時もチラホラ。メリル・ストリープが頑張れば頑張るほど、ヒエ〜〜ってどんどん引いてしまってる自分が居て、せっかくハッピーな映画なのに勿体無いな〜って。こういうミュージカル映画ってつくづく乗れるか乗れないかの2択だな。まずさ、メリル・ストリープはさ、あの歳の割には綺麗だよ?でもな〜〜もうハタチそこそこの娘の母親っていうには歳が行き過ぎだし、ピアース・ブロスナンとの恋がどうたらも、歳の割りに情熱的過ぎて恥ずかしくなってくるのねー。これって完全に日本人感覚だと思うんだけど。恥ずかしいもんは恥ずかしいんだい!たださ、ミュージカル映画ってさ、そういう細かい事気にならない勢いのある作りでないとダメだと思うんだな。だって急に踊ったり歌ったりするんだよ?普通に考えたらキチ●イですわ。それを当たり前の感覚にしてくれちゃうマジックがないとさ。多分ね、この映画、圧倒的なものがないんだよね。メリル・ストリープも他の出演者も俳優の割には歌が上手いんだけど、やっぱ『俳優の割には』なんだよね。ダンスなんて特にそう。そこが『ヘア・スプレー』や『ドリームガールズ』との大きな違いかな。いいな〜〜って思ったのは娘役のアマンダ・セイフライドぐらい。彼女はチャーミングだし、歌も素晴らしくて観てるだけで幸せな気分になれました。あと、これ映画としての演出も良くないんだよね〜。やたらスローを使ったり。引きの絵が全然上手くないの。何かせっかくのギリシャかどっかの地中海に浮かぶ綺麗な島のロケーションなのに、画面がAVの突撃ロケみたい。(苦笑)ミュージカル映画って演出が特に大事なんだなって思いました。これ、同じ脚本でも違う監督だったら、全く印象変わったのかもな〜。まぁ、最初に書いたようにおバカでハッピーな映画ではあります。元々、ミュージカル映画が好きな方ならオススメ。ただ、コアなミュージカル好きには物足りないんじゃないかな〜?ミュージカルが苦手な人へのアドバイスは、最初のメリル・ストリープの歌で大丈夫なら多分その先もずっとその調子で乗れます。そこで躓いたらほぼアウチ。

ブラインドネスはさすがにもう公開してるとこないのかなー?これ、いい映画なんだけど・・・・・・・個人的にはあんま映画館に観に行くのをオススメはしない。DVDのが良いんじゃないかな。だって、私は高い金払って何でこんな重い気持ちにならなアカンものなのかと思いましたから。(苦笑)ズーーーーンと重い気持ちになれます。何の前触れもなくいきなり発症した伝染性の失明。突然目が見えなくなった状態で密室に閉じ込められた集団の狂気が描かれてるんだけど、そこにエンターテイメント性を一切排除してるので、常に重た〜い気持ちで鑑賞しなければなりません。重い。怖い。そしてかなりしんどい。しかも、『ゾンビ』とかさ、そういう有り得ない話じゃなく、実際に起こる可能性が0%では無いだけに余計に怖い。本当に全世界が失明しちゃったら、この映画以上の混乱が起こるかもしれないなとか。隔離病棟なんて実際は作られないだろうからさ。日本なんてあれこれ後手後手になってるウチに殆どの人間が野放し状態で失明してるな。(笑)あの隔離病棟はカオスだったけど、実はあの場所の方がそれなりの秩序があって、人としての争いがあって、人間らしく居れる場所だったんではないかなと。ああ、怖い。あんまりもう1回観たいとは思えない映画。でも、観るんじゃなかったとは思わないんだな。暗くて重い気持ちになるけども、色々と考えさせられて心に残りました。ただ、映画なんだから、この題材をもうちょっと観易くエンターテイメント的に描いて欲しかったとは思います。あ、『誰も守ってくれない』とは真逆な感想だ。(笑)しかし、英語字幕の映画での日本語が間抜けに聞こえるのは何故でしょう?あ、大きな声で言いたいのは「木村佳乃よ、ここで脱がずにいつ脱ぐ」。いや、別に木村佳乃のヌードにそんなに興味はないんですが。

『THE JUON』よりも怖い物見たさで観た隠し砦の三悪人〜THE LAST PRINCESS』。これは酷い。(笑)元々さ、リメイク前の黒澤版の隠し砦だって筋にしたらそんな面白いもんではなくって、主人公達の主人公にあるまじき小者ぶりや、黒澤明の演出力や三船敏郎の命がけのアクションで無理矢理映画として面白くしてる感じだったんだけどね。この映画ではそれが全部無くなっちゃった。元の隠し砦を考えたら、主人公が松潤なんて有り得ない話なんだけど、(主人公達の小者ぶりは案の定、宮川大輔が一手に引き受けておりました)まぁ、それは松潤ですから、格好良く、ラストプリンセスである長澤まさみとのちょっとした恋愛模様なんつーのも描かれておったりして。そういうアレンジは松潤が主役のリメイクなんだし別にいいんじゃないかと思うんですが・・・・・・・・・そこに中途半端に黒澤版のエピソードを入れるから、ストーリーの流れは悪くなるし、矛盾も出て来る。主人公を松本潤にした時点で原作を無き物にするぐらいの大胆さは必要だったと思うんだ。だって松潤では黒澤版のお話しハナからは成立しないんだもん。そしたらリメイクじゃ無くなるじゃん!ってそういう意見にもなりますが、松潤でこの映画をリメイクしようって自体が大きな間違いなんだから、それならそうと、もう原型が何だか分からないぐらいにリボーンさせろやと言いたい。中途半端に黒澤版の物真似しててなー松潤に髭生やして小汚い格好をさせて・・・・・・・・・・誰がそんなの求めてんだと。黒澤版が好きな人間はこの映画を松潤が主人公の時点で観たいと思わないだろうし、松潤が好きな乙女達は、あんな小汚い格好の松潤なんて観たいと思わんだろうし。一体、このリメイク映画はどこの層に向けて発信しておるんだと。こういう始めから失敗すると分かりきってる作品を何で作るのかなー。誰か反対しなかったのかなー。あ、この映画観て、はっきり分かったんだけど、樋口真嗣って監督は人間を魅力的に撮る事が出来ない人なんだなって。これって何よりも致命的。ま〜〜〜錚々たる俳優陣の誰も魅力的に撮れてない。良い表情の一つもない。そして役者の無駄遣いが甚だし過ぎる。上川隆也なんてあの役で出す必要全くないもんな。あと、脚本が劇団☆新感線中島かずきなので、その関連でか舞台系の役者が一杯出てるんだけど、これも見事なぐらいに全て無駄遣い。古田新太とか生瀬勝久とか出る必要全くナシ。この映画でちゃんと使えてたのは高嶋政宏だけだったわ。(笑)樋口真嗣は完全に地雷監督ですな。この監督の作品はこれからは避けなければ。ま、『ローレライ』に『日本沈没』にこの『隠し砦〜』・・・・・・・・・とっくに皆さん分かってる事でしょうが。

『REC』。これは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド』のような、手持ちカメラ撮り風の一見ドキュメンタリーのようなホラー映画。そしてジャンルはゾンビ物です。いや、あれはゾンビなのか?当事者からのみの視点なので、ゾンビなのか何なのか謎の部分は多いんですが、その謎は謎のままでも、なかなか面白かったです。手持ちカメラの視点から見る惨劇には臨場感があったしドキドキ出来ますよ。でも、コレもう1回観たい!ってあんま思わないんだよねー。この手の手持ちカメラ手法はさすがに目新しさが無くなって来たので、もうちょっと一捻りあれば良かったんですがね。『クローバーフィールド』はドキュメンタリー風を装いながらなかなかエンターテイメントに富んでたなと。でもさ、あまり作り過ぎると臨場感が無くなるしね・・・・・・こういう映画はこのさじ加減が難しいんだろうな。あ、あと、「絶対、逃げられない」という緊迫感があまり感じられないシュチュエーションっつーのもマイナス要素かも。でも、まぁ、観て損って事はないかな。

『モンゴル』浅野忠信主演でアカデミー外国映画賞にノミネートされた事で話題になりましたね。これはチンギス・ハーンの生涯を描いた作品。このチンギス・ハーンと聞いて真っ先に思い浮かぶのがあの悪夢のような映画『蒼き狼〜なんとかかんとか』です。あの試写会で観たのに「金返せ!」と叫びそうになったあの映画。哀しいかな、あの悪夢が強烈過ぎて私にとってのチンギス・ハーンと言えば、全てアレになってしまったという。これを悲劇と呼ばずに・・・・・・そんな私にはこの映画は素晴らしいサプリメントですよ。万歳!浅野忠信!!チンギス・ハーンは君しかいない!と思いたかったのですが・・・・・・・・恐るべし『蒼き狼』。この『モンゴル』を観てる時もチラチラと反町隆史や菊川令の顔が浮かんで来ました。テムジンさんが色んな人に出会い、困難に見舞われる度に浮かんでくるのが『蒼き狼』。よーするに私のチンギス・ハーンの知識が『蒼き狼』しかないのが悪いんですが、終始『蒼き狼』が頭にちらついて大変困りました。まぁ、それも中盤までで、終わり頃には私の脳内では、テムジン=浅野忠信で、ボルテ=モンゴルの女優さん(この人がなかなか骨太で素敵。日本人にない強さを感じました)にちゃんと上書きされました。ありがとうロシアの監督!話としてはアクションの見せ方が上手いのでもう少し戦闘シーンを見たかったようにも思うけども、チンギス・ハーンをそんなに英雄視はしてなくて、どっちかってぇと苦労人としてのテムジンを描いてる感じなので地味な印象もあるんですが、一人の人間としてチンギス・ハーンに共感し易いです。全編モンゴル語。キャストの殆どがモンゴル人の中で一人日本人、しかも主人公を演じているという浅野忠信はモンゴル人には変に映ると思うんですが、(日本で言えば時代劇「遠山の金さん」で金さんだけが外国人・・・みたいなもんでしょう)存在感は抜群。ロシアの監督が浅野忠信をキャスティングしたのも納得でした。これも観て損はなしです。今度、チンギス・ハーン関連の作品を観た時に真っ先に頭に浮かぶのが反町ではなく浅野でありますように!