『キレイ 神様と待ち合わせした女』

『時には父のない子のように』で味をしめて次に観に行ったのがコレ。若菜ちゃん主演だし、サダヲやクドカンにスズキ・・・・・そしてウルフ商会(違)の橋本じゅんを是非生で見たい見たい。それに大人計画の舞台っていうのをどんなもんか一度見てみたかったので、友達の誘いに飛びついたんですが・・・・・・チケット代が¥9,000もしやがりました。ガッデム!!最初に値段聞いときゃ良かったゼ・・・・・・いやいや、これが舞台チケットの値段の相場ってヤツっスよね。それに¥9,000って聞いててもやぱ観に行きましたよ。見たい人ばかりだもの。




=======※以後ネタバレはなし(多分)=======


しかーし!この舞台を観たかった目的の60%を締めてた若菜ちゃんが急遽、体調不良で降板(大泣)。ピンチヒッターが鈴木の蘭々。蘭々なんて最近全然テレビでも映画でも見てないなー・・・・・・あーあ・・・・・・・とテンションダダ下がりまくりで、ついつい、愚痴をこぼしていたのですが、その辺につきましては鈴木蘭々様にジャンピング土下座で謝りたいと思います。ホンマすいませんでしたーーー!!!!あんたぁ凄いよ可愛いよ・・・・・代役であんなに見事な演技をしてくれるなんて。つか、代役なんて事実ありましたっけ?ぐらいなケガレっぷりでした。¥9,000分は蘭々だけで十分元が取れたよ。すんげーー可愛いの蘭々が。本当に可愛くって可愛くって。蘭々の「小さい」「目がクリっとして可愛い顔」「歌声がキレイ」がケガレって役にジャストフィットでした。歌手もやってたぐらいだから歌も上手いしねー。透明感のある声がキャラにピッタリだったし、相手役(笑)の阿部サダヲの小ささと蘭々の小ささが丁度並んだ時にいい感じで、2人とも結構イイ年してる筈なのに、本物の子供にみたいに見える瞬間があったり。そんな錯覚を起こすぐらいにピュアーで可愛らしいカップルなんですよ。その分、岡本健一の汚れた格好良さが活きたもんね。岡本健一カッコ良かったわー。エキセントリックな役が本当にハマリ役。あれだけ個性の強い役者陣の中で十分に個性を放てたのは凄いね。色んな格好の岡本健一が見れましたし。岡本健一ファンなら最低、3回はこの公演見ないとね。ファン失格ですよ?(余計なお世話)んでも、個性的っていうので一番印象に残ったのは秋山菜津子ってお方。私、申し訳ないんだけど、彼女を全く知らなかったんですよ。でも、この人が演じたカスミが凄く面白くって可愛くって切なくって一番印象に残ってるんですよね。舞台って特別な場所だから、やり過ぎるぐらいの演技でもやり過ぎに感じないんだろうけど、この人の演技は舞台でもやり過ぎギリギリの境界線でした。(笑)でも、それが全然鼻につかないの。むしろ滑稽で可愛いのね。決して美人な女優さんではなかったけど、凄く可愛らしかったです。おバカで可愛いんだけど、ケガレよりも人間臭い部分が多くて、キャラ的にカスミが一番魅力的だったかなぁ。あ、私が凄く見たかったリキオ・・・ではなく橋本じゅんさんも凄く良かった!物凄くエェ声〜〜なんですよね。歌ホントに上手。それでコミカルな演技が可愛いんですよ〜〜。だから、余計にダイズ丸の切なさが引き立つんですよね。橋本じゅんさんのお笑い部分は全てクリティカルヒットでした。動きや喋り方がおっかしいの可愛いの。松尾スズキはとにかく卑怯!(笑)格好も卑怯だし、登場の仕方も卑怯だし、全て卑怯でした。自分の舞台だからってやりたい放題だよな。阿部サダヲは可愛いって言葉しか出てこないなぁ・・・・・あんなに可愛い男って居るもんなんですよね。どの作品でも阿部サダヲの演じるキャラは可愛いんだけど、『キレイ』のハリコナは今までと違った可愛さがありました。サダヲの魅力って、人間の小ささや卑怯さを全面に出してても、それでも可愛いって所だと思うんですが、今回のサダヲは真っ白真っ白のピュアピュア。チチ揉んでたどん太と同じ人とは思えないぐらいピュアピュア。動物の赤ちゃんぐらいの可愛いらしさがありましたよ。役者・宮藤官九郎については、実はあまり縁が無かったんで、がっつりとクドカンの演技を見たのはこれが初めてと言って良いかも。これが格好良かったんですよ。すっごくカッコ良かった。クドカンってあんなにカッコ良かったんだ(笑)。マジシャンの格好が細い体躯に合ってたし、ちょっとときめいちゃいました。笑わせるポイントも本当に絶妙で、他のキャラと違ってクドカンのマジシャンはほぼセリフのみで笑わせるって感じだったんだけど、どれもツボにハマりました。片桐はいりは面白かったんだけど、舌滑が悪いのか、敢えてそういうキャラにしてんのか判断し兼ねるんだけど、セリフが聞き取り辛かったです。そらもうあのルックスだから出てくるだけで面白いんですけど・・・・・・私的には頂けなかったかなぁ。はいりさんのセリフの半分くらい分かんなかったもん。
最後に高岡早紀。あまりにキレイでビックリしました。顔とか、体のラインとかパーツの部分部分もそりゃキレイなんだろうけど、総じて全体が“キレイ”オーラに包まれてました。なんか近寄り難い感じですもの。なのに、可愛らしい〜蘭々のケガレと高岡早紀のケガレは喋り方が全く同じなんですよ。何だろう?そのアンバランスさが凄くシュールでした。彼女の存在だけでシュール。なんかもう女優さんってすげぇなって。あれの高岡早紀は女でも見惚れると思うな。あ、でも一時期に比べるとチチしぼんだ?(余計な事を)


¥9,000って高いなーっと思ったけど、最初の5分ぐらい見ただけで、『そら(¥9,000)するわー』とすぐに納得。役者は豪華だし、舞台装置も大掛かりだし、そのぐらいのマネーを取られても十分に納得出来ました。しかし、¥9,000でも十分に納得出来るんだけど、やっぱこれが¥5,000ぐらいだったらなぁとも思います。そしたら、もう1回観に行けるのにね。毎日、自宅でのエアコン使用時間5分(しかも31℃設定)の貧乏な私が、1万円ぐらいは使ってもいいなって思える舞台でした。何か感動ってより圧倒されちゃった。ねじ伏せられた感じ。
終わった時、心の底からジンときたんだけど、ぶっちゃけ、話の内容っつーか、ストーリーはあんまり分かりませんでした。(笑)設定も無茶苦茶だし、人物像がシュール過ぎるし、象徴的な部分が多過ぎて、ストーリーが分かりませんでした。でも、だからっていって、不満がある訳じゃなく。話がよー分からんなりにも、取り残される事なく、ずっとワクワク出来たし、笑っていられたし・・・・・・・この話で松尾サンが主張したい事だけは凄くガンガン伝わってきたのでそれが良かったのかな。話がワケワカランでも、別にいいかなぁって。
人間でも何でも生まれ落ちた瞬間に、もう傷が付いてるんですよね。形ある限り、汚れない物なんてこの世に存在しない。生き続けるというのは、汚れ続けていくというのに等しい。だけど、紙やすりで物を磨く要領と同じで、傷付いて傷付けてを何度も何度も繰り返して傷を傷で埋めていったら、やがて丸いピカピカのキレイな物に変わるんじゃないかな。生きてくってそういうもんなんだろうな。汚れないものなんてこの世に存在しない。そんなものがあってもそれはちっとも美しくないんだって。この舞台を観て、そんな気がしました。



鈴木蘭々が最後の最後に1人だけ舞台の袖で客に向かってお辞儀した時に涙が零れそうになりました。本当に鈴木蘭々が良かった。頑張ってくれた。今度、もし再演する時があっても、蘭々で見たいです。蘭々のケガレがまた見たい。
しかし、こんなに大絶賛で感想を書いてる私の頭に一番残ってるのは、狂ったように赤いフラッグを振り捲くる荒川良々なのでした・・・・・・・存在が卑怯。