『菊次郎とさき』 第8話。


8話の物語は7話から3年経っておりまして、北野武青年はツービートを結成して、いつの間にやらビートたけしになっておりました。は、早・・・。このドラマ、ビートたけしの原作を元にしたドラマとはいえ、かなりフィクションな部分が多いと思うんだけど、肝心な部分でビートたけしの存在に頼ってるんだよね。なーんて言ったらいいんだろう・・・・・日本国民の大抵の人が知ってるビートたけしの歴史を上手く利用してるというか。視聴者が歴史を知ってる事を前提で話が進んでる歴史小説みたいというか。ここで北野武はお笑いを目指すんだよ、ツービートを結成するんだよ、って皆が知ってるからこそ、成り立ってるドラマですよね。でないと、完全なフィクションと考えたら、あまりに話が飛び過ぎてて、訳が分からないもんね。武が何でお笑いを目指したかの描写も全然無かったし、師匠の元を離れて漫才の道を目指すという重要な部分も飛ばしてる。視聴者が知ってるからこそ、端折れる部分だよなー。
かといって、それが駄目かと言えば、そうでもないんですよね。何か大河ドラマを見てるような感覚に近いのかな?歴史をなぞるような。だから、話が急に何年後に飛んでも、唐突にキャラクターが居なくなってもあまり気にならないんですよねー。8話はガダルカナル・タカ師匠や小田茜の存在は何事も無かったかのように居なくなり、北野家とご近所以外で引き続き出てるキャラクターといったら、荒川良々ビートきよしぐらいでした。寂しくはあるんだけど、違和感は無いんですよね。出てこないからこそ、前と変わらずに居るんだろうと思える部分もあるし。深見師匠とたけしの関係には後々、摩擦が生じたんだと思うんですけど、そういう暗い部分や汚い部分を見せないのが、このドラマの良い所なんだろうなぁ。『菊次郎とさき』に関してはそういう美化や綺麗事が心地良かったりします。安心して見ていられるもんね。
青年期のキャラクターが殆ど居なくなってしまいましたが、その代わりに藤崎先生がパワーアップして帰って来ました。前から変な人だったけど、更に変になって登場。(笑)美保純と西島秀俊って考えられない取り合わせだけど、なんか違和感無かったなー。菊次郎のつまらないダジャレを真面目な顔で「面白く無いですよ。全く頂けません」と評したり、志乃ママに塩を撒かれて、お詫びに袋入りの塩を送ったりと凄い飛ばしっぷり。何だよアノ人。でも、すっごい堅物のクセ、意外と手が早いのよね。(笑)藤崎先生最高。藤崎先生のおかげで8話は賑やかに感じたなぁ。
でも、賑やかだったけど、8話が一番泣けたなぁ。青年編に入ってから、毎回ウルウルしてたんだけど、今回は泣いたな〜。多分、私が大や武と同年代だからだと思います。8話は親の老いについてのエピソードが多かったですよね。だから余計に身に積まされちゃった。なんかすごーく切ない気持ちになりました。私なんかは武と同じで、親はいつまでも年を取らないと思ってる甘ちゃんだからね。胸が痛かったです。
特に、菊次郎のお酒の辺りのエピソードは、すっごく寂しくって切なかったです。あの辺は脚本の良さと演出の良さと役者の良さが三位一体になっててお見事でしたね。さきさんが菊次郎さんのお酒を薄めてたのって本当のエピソードなのかな?本当でもフィクションでも良い話には違いないや。水で薄めた酒をいつものように嬉しそうに飲む菊次郎さんの表情がより切なかったなぁ。あ〜陣内さんの菊次郎大好きだ。あ、今回は大兄ちゃんが格好良過ぎましたね。平山広行君の大お兄ちゃんも大好きだわ。も〜〜〜ピッタリですよね。あの真面目で優しい大兄ちゃんは平山君しか考えられないわ。このドラマ、どの役者さんも凄く役にハマってて、見てて引っ掛かりが無いのもいいですよね。他の役者では考えられないぐらいに皆、ハマってる。最初、あれだけミスキャストって言われてた塚本高史がこんなに北野武にハマるとは誰が想像つきましたか。私は予想してましたけどネッ!(ウソつけ)キャスティングの人、本当にお見事だわ。お見事といえば、塚本君と良々とのツービートの漫才はお見事でしたわ。ちゃんと笑いを取れるタイミングでコマネチ出来る塚本君スゲー。多くの人が書いてたけど、私ももっと漫才シーンを見たかったなぁ。『タイガー&ドラゴン』ぐらい全面に漫才を出しても全然イケてたよね。まー名残惜しいぐらいに留めておいた方がいいのかな?主役は菊次郎とさきな訳だし。

最後の夫婦の会話は、今まで見てきたドラマの焼き増しみたいな感じで、セリフも安っぽい筈なんだけど、あのドラマの菊次郎がさきに言ったという事が泣けるんですよね。夫婦の会話の場面に大と武の兄弟が酒を酌み交わすシーンを重ねるのは上手い演出だなー余計泣けた。でも、あそこから少年編になっちゃったんで、ちょっと涙が引っ込んじゃったかな。(苦笑)少年編は少年編で賑やかで楽しいんだけど、青年編の切なさの余韻をもうちょっと味わいたかったかな。やっぱ9話は短過ぎるよね〜〜青年編はあれでもう終わり?すっごい寂しい・・・・・。
青年編はシリアスと笑いのさじ加減が絶妙で大好きでした。良いドラマだったと思うなぁ。しかし、8話の塚本君演じる武青年は32歳・・・・よもや、あのイマドキの若者代表な塚本君が32歳の青年を演じるとは思いもしませんでしたが;でも、32歳・・・とまでは見えないけど、しっかり成長した大人に見えたなぁ。あの辺の時間の流れの演じ方も上手かったなぁ、塚本君。すっかり役者として成長しちゃってまぁ。大兄ちゃんは37歳か〜〜あの37歳もありえねぇ〜。(笑)陣内さんなんて70歳越えてるのかな?って80歳近いのか・・・・。つか、昭和54年が没年ですか。(泣)そうなると、西島秀俊や美保純はきっと60歳手前の筈・・・・やっぱあの時代ぐらいまでがドラマで描ける限界だよなー。少年編に戻るのは仕方ないのかな。でも、少年編に戻すって事は続編も考えてるって事ですよね?そしたら、青年編もまたやるのかな?今回描けなかったエピソードって一杯あると思うんだけど、是非、スペシャルでもパート3でもでやって欲しいな。

来週は最終回。寂しいけど、どういう終わり方をするのか楽しみでもあります。大兄ちゃんはもう出ないのかな?それは寂しい。