『菊次郎とさき』 第9話(最終回)

変わらぬ良さと変わってゆく良さってのがあるんだろうねぇ。
最終話はすっかり青年期が忘れられたように少年期オンリーで終わってしまいました。青年・武は屋根の上にちょろっと出てきた程度。青年・大に至っては全く登場せず。(大泣)これはさすがに寂しかったなぁ〜。しかし、少年期も良いんだよね、やっぱ。最終回は身重の久美子さんが出産して、菊次郎とさきに初孫が出来る話だったんだけど、そこに至るまでこれといって大きな事件が起きる訳でもなく、久美子さんも難産ってこともなく、すんなり子供が生まれて・・・・・と最終回なのにコレ!って大きな事件は無かったんですけどねー。でも、一人一人のキャラが立ってるからかな?皆が・・・・というか、菊次郎さんが、さきさんが、藤崎先生が、久美子さんが・・・登場人物が喋ってるだけで、ジンとしました。特に菊次郎さんの神様の話を利用して、家族全員が菊次郎さんを傷付けないように上手く騙して、東京タワーのペンキ塗りに向かわせる辺りは、面白いんだけど、皆の優しさが詰まってて良かったですね。このドラマって私が30歳過ぎてるから、懐かしさも手伝って良いと思えるのかなーと思ってたんだけど、例え私が小学生でも、感動出来たんじゃないのかなぁ?特にこの武の少年時代は。全世代を通して愛されるようなドラマだと思います。サザエさん的なね。いつまでも変わらない安心感でしょうな。まーそれが退屈って感じる事もあるんだろうけど。
最終話で一番印象的だったのはお隣ご夫婦のかつゑ&小五郎さんの2人かな?子供の無いこの夫婦が武や大を愛しそうに可愛がる姿が凄く切なかったです。梨本謙次郎も濱田マリも良いよね〜〜〜このドラマの俳優って皆良いんだけど、濱田マリがこんなに良い演技する人だとは思わなかったわー。新発見ですよ。武に布団を被せる時のかつゑさんの表情が今回一番泣けたなぁ。2人に子供が居ない理由は謎のままだけど(普通に不妊症なのかな?)、その分、お向かいの子供を自分の子供のように可愛がる2人に泣けましたよ。武に「ずっと、晩ご飯を食べたらいい」と言ってたのは本音だったんじゃないかな?「なんでここの家には子供が居ないんだ?」という子供ならではの残酷な質問に対して、「仲が良過ぎるから神様が子供を恵んでくれないんだ」と答えた小五郎さんの男らしい優しさに乾杯。
最後の締めは青年・武に花を持たせるように塚本君のナレーションで終わりましたね。あの「貧しい時代だった」「毎日が祝祭日のようだった」「この時代に生まれてきた事を感謝している。父ちゃんと母ちゃんの子供に生まれたことも」ってもー超ありきたりな言葉なんだけど、泣けた泣けた。このドラマはありきたりなセリフで泣ける事が凄いのかもしんない。
残念だったのは、最終回が全然、最終回っぽくなかった事と、青年期が消化不良に終わった事かな?続編を作る気満々なんだろうけど・・・・・・・やっぱり最終回はそれなりに「完結」って感じで終わって欲しかったかな?特に今回のは少年期→青年期→少年期と時代が入り乱れてたので・・・・・・・青年期が途中で終わって少年期に巻き戻った事で、明らかに続編の為の布石って感じがしたので、そこで少し萎える気持ちはありました。続編作れる終わり方は大いに結構なんだけど、青年期は最後まで・・・・・というか、せめてきっちりと終わらせて欲しかったかな。なんか最終回見て感じたんだけど、少年期は幾らでも続編出来そうだけど、青年期は時代に流れがあるから、続編作るの厳しいかなぁって。青年期で描かれなかったエピソードは一杯あると思うんだけど、今回、ツービート結成までやっちゃったから、後はそのすぐに菊次郎さんが死んでしまって、さきさんだけになっちゃうんだよね。あの後は『菊次郎とさき』というドラマでは描くことが出来ないんじゃないかな。だから、菊次郎さんを死なすまでは描かなくて良いとは思うけど、青年期をきっちり終わらせて欲しかったかな?最終回が丸まんま少年期だったから、その点は不満が残りましたね。やっぱ全9話では無理があったのかなぁ。
まぁ、不満点はその程度なんですけどね。塚本君が出るってきっかけで見たドラマだったけど、塚本君の出てない少年期も十分楽しませて貰いました。少年期にチラチラと幽霊のように登場してきた青年・武を邪魔と思うぐらいに。(苦笑)いや、そんな小細工使わなくっても、塚本君が十分に北野武を好演してたから言えるんですけど。青年期は塚本君も平山君も馴染んでたもんねー。あー青年期、本当に面白かったなぁ。どんどん時間が流れていくんだけど、話は1話できっちりと完結してるという、凄く私好みのドラマでした。たった4話で終わったのが勿体無い勿体無い。でも青年期の続編はやんないだろうなー・・・・・・・もし、やるとしたら、丸ごと青年期で、菊次郎の死も描いて、その後のさきさんも描く覚悟でやらないと締まらないと思うんだけど。それも寂しいような。しかし、丸ごと少年期だったら、途中、あまりの変化の無さが退屈に感じるだろうなぁ。うーん、少年期と青年期がセットだったから色んな変化があって退屈しなかったのかもねぇ。そう考えるとこの構成は上手かったのかな。