『春の雪』

『春の雪』 ★★☆
製作国:日本 公開年:2005 配給:東宝 上映時間:151分
監督:行定勲 原作:三島由紀夫 脚本:伊藤ちひろ/佐藤信介  音楽:岩代太郎
出演:妻夫木聡/竹内結子/高岡蒼佑/及川光博/田口トモロヲ/高畑淳子/石丸謙二郎/宮崎美子/柄本佑/石橋蓮司 /山本圭/真野響子/榎木孝明/大楠道代/岸田今日子/若尾文子/他

観てきました『春の雪』。今、さっき観てきたとこです。(笑)本当は今日(10/31)ではなく映画の日の11/1に観に行こうかと思っていたんですが、イレギュラーな残業で帰宅時間が遅くなったので・・・・・この映画、上映時間が2時間半もあるから、上映時間が中途半端になんですよ。仕事帰りに観るにはね。だから、もう今日、観ちゃえって。映画の日の前日だから人が少なくゆったり観れました。
そーですね〜〜〜観終わった感想ですかー。うーん・・・・・・・・・・。これは観る側を選ぶ映画だと思うなぁ。あ、私は三島由紀夫読んだ事ないです。あーいう、耽美系(イメージ)はダメなんだよなぁ。ま、そーいう事なんですよ。あの世界観に酔えるか酔えないかって。結論を言うと、私は酔えませんでしたね。うん、ものすごーく素で観てしまいました。これは精神的なコンディションってーより、私って人間がこの映画に合わなかったんだろうなぁって。そら、『LOVERS』の最後のシーンの健気なチャン・ツィイーを見て、「ターミーネーター!?」とか思う女には無理な映画ですわ。






=======※以後ネタバレあり=======


最初の妻夫木君と高岡君の会話を聞いた瞬間、あ〜〜2時間半耐えれるかなぁ・・・・・って思ったんですよね。「君は●●だと思うかね」「〜〜たまえ」とか、なんか演劇のセリフみたいな言葉の応酬だったんですけど、ちょっと浮いて聞こえたんですよ。特に高岡君の方が。ヤバイかな・・・・・・・・と思ってたら、それはすぐに気にならなくなりました。最初のセリフがまるで本を朗読してるような言葉遣いだったので、取って付けたように感じたんですけど、それは最初だけで、その後は言葉遣いもムチャクチャ古めかしい感じにはしてないし、妻夫木君も高岡君もセリフの言い方に気を遣っていたように感じました。大正や明治とかって、言葉に書き出すと現代とさほど変わらないんだろうけど、イントネーションが大仰しい・・・・・時代劇風というか。常に腹から声出してる感じですよね。その辺、特に男の人が顕著だと思うので、セリフは難しかったんじゃないかな?若い2人は割りと違和感無く喋ってたように思います。あと、妻夫木君は英語上手だったなぁ。その点は感心しました。そう、妻夫木君にしても、高岡君にしても演技は決して悪くなかったと思うんですよね。高岡君はちょっとセリフが浮く所が気になった部分はあるんですけどね。でも、難しい役を頑張ってたんじゃないかな。
ただなぁ・・・・・・・・・・・・・これってミスキャストって言っちゃうとそこまでのような気がするんだけど、どうも、この『春の雪』という作品の松枝清顕って役と妻夫木君が合わないように感じました。ぶっちゃけ、清様ってとんでもない男ですよね。最低男ですわ。やってることムチャクチャっていうか・・・・・・・我侭で捻くれていて愚かで。だから清様が落ちていく様も最後の最後まで自業自得としか思えなかったんですけどね。ま、本当に自業自得なんですけど。(苦笑)だからね〜〜〜この男に感情的に共感っつーのは出来ないんですよ。まーでも、男の魅力ってそういう理屈の部分じゃないですよね。特にこの清顕様っつーのは、ちょっと悪の美学みたいな、退廃的な感じが魅力なんではないんですか?原作読んでないので勝手な解釈ですが。妻夫木君はそういうんじゃないんだな〜〜。なんだろう?妻夫木君って凄く感情が分かるんですよね。何を思ってるかが顔を見たらすぐ分かるの。それが彼の良さだと思うんですけど・・・・・・そのせいでミステリアスさが無いっていうか。清顕様の感情が逐一分かってしまうので、「それなら、なんでそんな事すんじゃー」って思ってしまうんですよ。感情と裏腹な事をするのも、ただの子供にしか見えなかったんですよね。構って欲しいだけの子供。それはそれで凄く可愛いんですけど(笑)、でもそういう話じゃないしなぁ。その辺で世界に酔えなかったんですよ。妻夫木君、すっごく良い演技してたのにね。こんな事言ったらなんですが、演技下手でもいいから、もっと何を考えてるか分からないような人のが良かったんじゃないかなーとか思ったり。浮世離れした人ね。んじゃ、誰がやればいいんだって言ったら全く候補が出てこないんですけど。今の若手にそんな雰囲気の人居ないなぁ・・・・・・・・・・・・松田兄?なーんか違うなぁ。その点、まだ、高岡君の方がしっくりきましたね。高岡君は本多役に合ってたんじゃないかな。清顕様に振り回されまくるあの役ね。あれってホモなんかな?私はあんまりそういう風には感じなかったんですけど。
私的に合わなかった妻夫木君とは逆に、あまり興味の無かった竹内結子が凄く良かったです。可憐だったなぁ。健気だったなぁ。竹内結子が相手役ってことであんまり濡れ場に期待してなかったんですが、これがなかなか官能的というか・・・・・・この辺はさすが妻夫木君ともいえますが。ラブシーンはどれもこれも美しく、かつ扇情的で良かったです。キスシーンもタップリ見れたしね。うふふ。その辺は大満足なワケですが。

これはストーリーを楽しむものではなく、作られた世界を楽しむもんなんだろうなぁ。だから、私みたいな引っ掛かりと感じなければするっと世界に酔えるだろうし、酔ってしまえば、最後まで楽しめると思います。いつ、催眠術に掛かるかって。映画の冒頭の美しい風景からスイッチが入る人もいれば、清顕が聡子に屈辱的な手紙を笑顔で送る時にスイッチが入る人もいるだろうし。私は、清顕様がもう存在しない手紙で聡子を脅す(あくまで形)所でちょっと催眠に掛かりかけたんですけど、結局、スイッチは入らないままでした。うーん、自滅かな?(笑)