『ハゲタカ』

終わってしまった。何だか燃え尽きてしまった感が。あ〜〜〜しばらくはこんな重厚で見応えのあるドラマは無いだろうなぁ。しかし、春は民放で革新的なドラマが沢山ありそうなので、そこを期待して・・・・・・・・・・しかし、抜け殻状態っつーか。どっと疲れたわ。(苦笑)エェもん見せて貰いましたNHK様!視聴率とか関係なく、こういう作品をどんどこ作っていけば、わざわざ受信料を義務化なんぞせんでも、率先して払う人が確実に増えてくと思うよ。今、『風林火山』だって作品のクオリティの高さで評価されてるんだし。『ハゲタカ』なんてNHKじゃないと絶対作れない作品だと思いますもんね。まず、作品の途中でCMが入る民放のドラマでは、あそこまで説明描写が少なく、ガッチガチに集中力の要るドラマは作れないと思うわ。NHKだから、映画を創るのと同じ意気込みでドラマを作れるんだよね。特に今回の『ハゲタカ』は経済という一般とは少し離れた世界を描いていて、専門用語も多く、難しいドラマだったと思います。ちなみに私は、この経済っつーのにとんと疎く、未だに『ファンド』って何だか分かっておりません。(驚)株の事なのかなぁ・・・・・?そんな恐るべし経済オンチの私でも、このドラマは大変面白く見れました。逆に、あんまり経済の知識が無い方がドラマとして、純粋に楽しめたのかもしんないね。変に知識が豊富だと、この場面でTOBは有り得ないだろとか、EBOは出来ないとか、知識が邪魔しちゃうのかもしんない。TOB??何じゃそれ??EBO??とかいう人の方がすんなり受け入れられるかも。(BVDなら知っています)経済という土壌の上に立ってはいたけど、『ハゲタカ』は男達の戦い、繁栄、没落、再生を描いた人間ドラマでした。とにかく出て来る男達がクールで熱くて、でも、時には情けなくもあり、とても魅力的に描かれていました。ホント、男ばっかのドラマだったな〜。(笑)まともに出て来た女子キャストって栗山千明ぐらい?でも栗山千明は美しいけど、色気無いっつーか、男らしいからな〜。あ、中性的って言った方がいいのかな。あまりに美形過ぎると、もうこの際、男でも女でもその顔なら何でもいいんじゃない?ってなんか性別とかどうでも良くなっちゃうもんなぁ。栗山千明は演技はまだまだまだまだだとはと思いますが、それでもあの鋭い眼差しと凛とした空気は彼女特有の物で、『ハゲタカ』の雰囲気にとても合ってました。例え、栗山千明よりも演技が上手くとも、由香の役というか、『ハゲタカ』のあの世界観に合う女優ってのはそうそう居ない気がするんで、彼女は適役だったと思います。あと、もうちょっとセリフを喋ってる感が無くなれば、もっともっと幅広く色んな作品に出れそうに思うんだけどね。素の栗山千明はナイスキャラだし。(しょこたん紙一重

俳優では、やっぱ何つっても大森南朋でしょうな。大森南朋が連ドラの主役〜〜!?って驚いたけど、ドラマが始まって見れば、大森さんは十分に主役の貫禄を持っておりました。すんげぇ豪華キャストなのに、その上に立っても何ら見劣りしない。でも、1つのドラマ内でオーラを自由に操ってるっつーか、出る時は出て、引っ込む時は引っ込んで・・・・・・・という、主役らしからぬ器用さを見せており。この辺は色んな作品で色んな役柄を演じてきたからの器用さだろうねぇ。だから、このドラマは鷲津ばっかりが目立たず、芝野もおさむB型も、やたら日本語の上手いアラン(フィギュア滑ってそうな顔)だって皆が光っておりました。パフェおやじ(志賀廣太郎)が美味しい役だったのも嬉しい。中延さん、最後まで一貫してクール且つあったかくていい役だった。菅原文太は、こんなん菅原文太しか出来ねぇよ!っていうカリスマ経営者を見事な説得力で演じてたよ。菅原文太だから何の説明無くても、大木昇三郎なる人物が物凄いカリスマ性を持った経営者だって納得いった訳さ。宇崎竜童や大杉漣の焦燥し切った姿が忘れられないなぁ。この2人が男の脆さを凄く表してたよね。あと冨士真奈美も強烈だったわ。あの人、人間じゃないかもしんない。(大笑)その息子もすっげぇ印象に残る演技を見せてくれたわ。あのダメダメジュニアを演じた役者さんの顔、私、一生忘れない気がする。(笑)すっげぇ、インパクトのある顔と演技だった。あと、中尾彬にちょっと感心しちゃっのよ。あれだけバラエティーに出てうんちく語ってるオッサンなのに、俳優として作品に出るとそれを微塵も感じさせないんだもん。中尾彬、今更ながらすげぇと思った。んでんで、やっぱ田中泯の存在感ったら。田中泯は演技しなくてもいるだけで成立するんだもんな〜〜。しかし、ドラマで田中泯の姿を見るとは思っておりませんでした。松田龍平もそうだけど。松重豊とか浅利陽介とか山本浩司とか贅沢な使い方をしてたね〜。あんまりチョイ役で有名な俳優を賑やかしに使うのは好きじゃないけど、このドラマだと端役まで手を抜いてないんだなって思えちゃう。特に浅利陽介は短い出演ながらも上手くないとダメな役だったしね。
大森南朋は『ヴァイブレータ』の時からかなり気になる俳優さんだったけど、この頃、益々、脂が乗ってるっつーか、すっごい色っぽくなってまぁ。彼の色気っつーのは凄いね。そりゃ、フランス人と結婚したあの寺島しのぶが惚れる訳だわ。何だろう、凄いフェロモン持ってますよね。フランス人にも負けないぐらいの。そんなに顔は男前じゃないのに、めっちゃめちゃ格好良く見えるんですよ。『ハゲタカ』はドラマとしても面白かったけど、大森南朋観賞でも十分に楽しめました。メガネスーツ最強!で、柴田恭平がまたカッコいいんだわ!こっちは大森さんとは反対に枯れた魅力っつーのかな・・・・・・・・?柴田恭平は年取って益々格好良くなってきてると思う。そんな器用に色んな役をこなせるタイプの人ではないけど、ああいう存在感の中年俳優って居そうで居ないというか。『69』の時にいいな〜って思ったんだけど、格好いいオッサンになってきたね。んで、ここん所、私の中でどんどん上昇している松田龍平が、これまたいい演技してました〜。どんどん父親に似て来てるなぁ。元々、何とも言えない人間離れしたオーラの持ち主だけども、益々、怪物じみてきたわ。なのに、色んな経験積んで、多彩にもなってきてる。恐ろしい。ああ恐ろしい。松田龍平にはまだまだ可能性があるから、父親に負けない凄い俳優になれるかもしんないね。まだまだ若いもんなぁ。んで、あの若さであのオーラ。うわぁ。

内容的には先に書いたように、経済の仕組みや用語を全く分かってない私のような人間でも、集中さえすれば、話に付いて行けなくもないぐらいの、経済オンチでも難しくない内容になってたと思います。基盤は人間ドラマだからね。多少、分かんない事は分かんないまま置き去りにしても、それぞれのキャラクターの駆け引きの面白さで楽しめました。鷲津とおさむB型がテレビ番組で対峙した時や、最後の鷲津と芝野のやり取り、カリスマ経営者・大木やレンズ技術者・加藤との鷲津や芝野のやり取りもとても深かった。少し惜しいと思ったのが、おさむB型のハイパークリエーションとホライズンの攻防が駆け足になってしまった事。あそこ、2話ぐらい使ってやって欲しかった気もするけどね。おさむB型が不気味な存在だけに。最初のプールに浮かんだ鷲津の死体(って思ってたら生きてたけども)がああいう風に繋がるとはね。でも、本当に上手いストーリー構成で、淡々としてるようで熱く、男達の静かな戦いが描かれておりました。最後に鷲津と芝野が組んでレンズ事業部を再生に導いた所は胸が熱くなりました。でも、決して、お涙頂戴のストーリーにはなっておらず、いい意味で最後まで冷静さを失っていなかったのがこのドラマらしくて良かったな。最後に鷲津がおやっさん(渡辺哲使うんだもんな〜抜かりないよな〜)に手を合わせるシーンは泣きました。えぇ。

しかし、あんだけ集中して全話見たのに、私には全く経済についての知識は残りませんでした。ある意味すげー自分。そんなドあほな私ですが、このドラマは本当に最後の最後まで楽しんで見れました。毎週毎週続きが楽しみでワクワクしてましたもん。また、こんな心の底から熱くなるドラマを作ってくれぇ〜NHK