『ガンジス河でバタフライ』

原作のたかのてるこ本人が面白いし、脚本はクドカンだし、スタッフ、キャスト、良い所揃えてるし・・・・・・・・・・とその割にはちょっといまいちでしたね。まぁ、あんま期待してなかったんだけどね〜。（笑）『ドラッグストアガール』？だっけ。昔、クドカン脚本で、田中麗奈が主役だったあの映画。前編は特にあれに通ずる微妙な空気を感じました。笑うに笑えないっつーか、スベリの連鎖っつーのか。前半と比べたら後半はぐんと良くなったんだけども。そういや〜磯山晶プロデューサーが言ってたよな〜「宮藤君の作品は女性が主人公のものはあまり良くない」って。（苦笑）私も薄々はそうじゃないかな〜っては思ってたけど、今回の作品を見て決定的に。あ、本気でダメなんだ・・・・・って。女性が主人公っつっても、キワモノキャラのたかのてるこだし、大丈夫かと思ったんだけどねぇ。
まず、クドカンの作品の女性キャラって、女が女に共感出来るキャラクター作りになってないんだよね。一歩引いて見ると可愛いキャラクター達ではあるんだけど。どう言ったらいいのかな〜・・・・・男の子達は凄く等身大で身近に感じれるのに、女のキャラクターになると途端、凄く作り物っぽくなるというか。そこが可愛い部分でもあるんだけど、身近には感じれないっつのかね。まだそれが脇役だったらいいんだけど、主役となるとそうはいかない。今回は中身が夏目漱石になるんじゃないしね。（笑）んで、ガンジス〜は何故だか、前編と後編に分かれて放送されたんだけど、そういうあまり生身を感じないキャラクターを長澤まさみが甘ったるい〜声でフニャフニャの喋り方でオドオドの困り顔で演じてるのを見て、あ〜〜・・・・・これは求めてるモノと違う・・・・・・・・って引いちゃった人も多いんじゃないかしら。クドカン作品だから見る側もハードル高くなってるから余計に。更に残念なのは、その長澤まさみが後編になったら、凄く生き生きして魅力的になってきたのに、そこからの長澤まさみがもっと見たいのに〜ってとこで終わっちゃう事。前半は鼻に付いたオドオド演技も、後半ではすっかり豪胆で頼もしく魅力的な主人公になれたのに。これはドラマの全体的な構成も良くなかったんじゃないかな。う〜ん、前半と後半に分かれてなくって一気に見たら印象変わるのかもしれないけど。何で前半、後半に分かれちゃったんだろ？勿体無い。あと、日本のシーンがどれもこれもダダ滑り。（これはクドカンの脚本ってよりは演出の李闘士男の力不足かと）あんなんだったら、日本のシーンを最低限に減らして、キャラクターも要らないのは排除して、インドのシーンをもっともっと見たかったな。インドロケをあれ以上増やすのは難しかったのかもしれないけども。どこの画面にもめっちゃ野次馬が映り込んでたもんね。野次馬対策のロープが張られてるシーンもちらほら。（苦笑）
今回のドラマでは、インドの良い部分も悪い部分も描写的に中途半端に感じました。インドの50℃越える灼熱地獄はキャストが体張って頑張ってんだから、ドラマの中のエピソードとして欲しかったな。インドなのにあんまり暑さを感じなかったもんね。なんか、インドっていうすっごい美味しい素材を生かしきれてなかったような。クドカン、余計な事し過ぎたかな〜って。もっとシンプルでもいいのに。シナハンの方がよっぽどインドのおかしさが伝わって来たもんなぁ。このドラマも入院するスタッフが続出だったっていうドラマ裏側のメイキングの方が過酷で面白そう。
そんな感じで作品がいまいちだったので、キャストの良し悪しもちょっと判断し辛いかな。長澤まさみはガンジス河で泳いだ事は確かにめちゃ凄いんだけど、（でも、シナハンでクドカンもたかのてるこもバリバリ泳いでたんだよな・・・・・あれは本編のインパクトが薄くなるよなぁ）あの作品の関わり方で、体を張ってて凄いとか言われてるようでは、女優としてはまだまだなんだと思うよー。だって、あれを他のそれなりに経験を積んでる女優がやっても、そこまで凄いって言われないでしょ。長澤まさみって人がやってるから凄いって言われる訳で。でも、彼女にとって物凄くいい経験になったのは確実だと思うし、行く行くは長澤まさみならこのぐらいやるよね、ってガンジス河で泳ぐくらい当たり前に思われるぐらいの女優になってくれたらいいなぁ。彼女の表情の豊かさは本当に素晴らしいと思うので。何言ってるか分かんないのも今回に関しては勢いがあって全然アリだったし。塚本君は相変わらず、作品にあんまり出て来ず、ちょこちょこっと出演なんだけど、少ない出番でも、あのシンゴって役は重要な役だったんでは。で、塚本君がやる意義はあったと思うよ。だって、インドで日本人に騙されたらショックでめちゃめちゃ凹むよね。しかもその相手に好意を持ってしまってたりしたら・・・・・・・でも、てるこにそんな酷い事してるのに、な〜んか、しょうがないかって思えるのは塚本君のキャラがあってこそだろうし。なし崩し的にシンゴを許した？てるこがバカでお人よしで、でも一度恋した相手の腹に思い切り蹴りを入れてバスから蹴落とすという、（これまた蹴られるのが似合うんだ塚本君・笑）うるるんのエンディングみてぇなシーンがめちゃめちゃ笑えたし。あれ、シンゴが嫌な奴に見えたら笑えないもんね。そんな酷い男・シンゴとてるこの関わり方で、てるこが凄く強くなるのには説得力あった。中谷美紀もちょこっとしか出て来ないのにずしっと存在感あって良かった。すんごいインドに馴染んでて日本人じゃないみたいだった。（笑）他のインド人も面白かったな〜。てるこがリュックを預けた爺さんとかいるだけでおもろい。何も喋らなくてもいいんだもんな〜ずるいよな〜。故に、やっぱりもうちょっとインドを中心に見たかったな。決して面白くない訳じゃなかったけど、なんか色々と勿体無かった。