土曜ドラマ『チェイス〜国税調査官』

一瞬、タイトルをチェイス国税調査官(笑)』にしようと思ったけど自粛しました。
いや〜別の意味で面白かったわ。前に「これはネタドラマとして見るべきか」って日記に書いたんだけど、そう見れば凄く面白いかもしんない。でも、シリアスな社会派ドラマとしてとか、ARATA演ずる村雲に感情移入して見るとかしたら、最終回のなんじゃこりゃ展開にハラワタ煮えくり返ってたと思います。真面目に見てた人が少ない事を祈ります。やっぱ坂元先生は坂元先生だよ〜〜!と妙に安心した作品でもありました。ま、最終回まで残った視聴者の多くはただのARATA萌えだったと思いますが。(@個人的リサーチ)

でも、ARATA萌え目線で見ても最終回の村雲のアチャーぶりには、テレビに2段ツッコミぐらいしてしまいそうなぐらいガクーンとなったんですけどね。まず、何故、1話の中で何度も死ぬ死ぬ詐欺をしたのか。最終回前と最終回の繋ぎで死ぬ死ぬ詐欺ってんなら分かるんだけど。最初は金庫ですよね。金庫の中で金に火を点けて、村雲のすぐ傍で今にも村雲に燃え移りそうなぐらい火が燃えていて、そして、金庫の重い扉が閉まって・・・・・「あ〜金を魔法のように消したり出したりした魔術師は金と共に死ぬのね〜」なんてポエマーな感情で見てたら、村雲が何事も無かったようにあの厳重そうな金庫のどこからか飛び出して車で逃走。(笑)ズコー。セロもビックリかーい。隠し金5000億を置いていた厳重そうな金庫のどこに隠し扉が?一体どういう構造になってんだ?あの金庫。そして、お次は、金庫から逃走した車のフロントガラスに母との思い出的意味ありげな布が被さって、前が見えなくなって車が事故った!「え〜〜こんな死に方〜?」って思ってたら、ひっくり返った状態の車に駆け寄る江口洋介。何故かここで『ひとつ屋根の下』のアンちゃんみたいな感じで、急に『泣いた赤鬼』の話を始めて、村雲を救出しようとします。車からはガソリンが流れ出ていて、いつ火が着いて爆発するか分かりません。ARATA「あんたも巻き込まれるぞ・・・」。ハイ、洋画で30回ぐらい観たお約束のシーンです。この展開で実際に爆発炎上に巻き込まれる展開はほぼ皆無。実際、アンちゃんは村雲を助けてファイト一発脱出成功。丁度、2人が危険じゃないぐらいに離れた頃合いを見計らって、車が爆発大破。ここは仮面ライダーの怪人爆破を彷彿とさせてくれます。なんか酒飲んだ勢いでノリでスタッフがやったとしか思えん爆破。「ははははは〜〜予算余ったし爆破入れとけ入れとけ〜」みたいな。何故、爆破。
そして、最後。村雲が刺されちゃった!犯人映ってないけど、ほぼ100%腹違いの弟の基一だしょ〜。この辺になると段々とどうでもよくなってきました。村雲が弟に刺されるって展開なら、2回も死に損なわなくても・・・・・・。そして、子供の腕を切り落とした(らしい)鬼畜オカンは最後まで村雲を息子とは認めず、村雲はベンチで眠るように息を引き取りましたとさ。ここでぶっつりEND。ビックリしたなぁ、もう。
つーか、あのオカンは何のお咎めも無しかい。そして、散々、脱税に加担して来た麻生久美子も何事もなかったように子供と人生を再出発。散々、父親に酷い台詞を吐いて、オマケに母親の保険金3千万円以上をパーにしたバカ娘も、父親と和解して仲良しこよしに。男の方は、左遷されたり、死んだり、自殺したり、殺人犯になったりと人生が底値まで暴落してるのに対して、女は良い方向に人生を再出発しております。なんたる理不尽。一番の暴落株は、セレブ若社長から最終的に殺人犯にまで堕ちた檜山基一でファイナルアンサー?いやいや、益岡徹の新谷課長もなかなか。
まぁ、こんなネタドラマにああだこうだ言及するのもアレですけど、村雲の幼少期の誘拐に別の含みなんて無けりゃ良かったのにね。こんな所にまでどんでん返しの仕掛け要らないのに。無茶しやがって・・・。オカンが実の息子を自作自演で身代金誘拐して、失敗したからって子供の手を切り落とすなんて無理あり過ぎだし。単純に実の父への恨みって方が分かり易いし、感情移入出来るのにさ。それを母親がどうとかって展開になってから、訳が分からない内容になっちゃったんだよなぁ。個人的にはさ、実の父親への復讐って展開すら要らなかったんだけどね。村雲はビジネスとして、脱税を繰り返す非情なコンサルタントで、国税VS脱税コンサルタントのバトルが見たかったんだけどなぁ。何故、こんなことに。(笑)

そんな感じで真面目に見たらとっても損するドラマ。もし、再放送で見る機会がある時は、ネタドラマとして見て下さい。それと色んなARATAに萌えるドラマだと割り切って下さい。あ、余談ですが、このドラマでARATAにハマった人は、若松孝二監督の映画実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は観た方がいいよ。
土曜ドラマでシリアスっぽいからって騙されてはいけません。脚本は坂元裕二先生です。お忘れなきよう。