『告白』

随分と前に観たのに、ワールドカップ観戦に時間取られてなかなか感想を書けませんでした。この映画、社会現象になりそうな程、大ヒットしてるんですよね。この勢いだと、まだまだランキング上位に食い込んで行きそうだし、ロングラン上映は確実ですね。ドラマ→映画の流ればかりの作品の中で、こういう映画がヒットするのは嬉しい事です。しかもR-15でこの大ヒットは異例中の異例ですね。日本もまだまだ捨てたもんじゃないゼ。

『告白』 ★★★★☆

いやぁ、凄い映画。凄いって言葉しか出ないから、なかなか感想書けなかったいうのもあるかもしれません。北野武監督作品の『アウトレイジ』のキャッチコピーが「全員悪人」でしたが、このキャッチコピーはある意味この映画の方が合ってるかもしれない。まー見事に全員が「悪」です。あ、「悪人」じゃないな。「全員が悪」の方が正しいか。「ワル」じゃなくって「悪(あく)」なんだな。比較するつもりは決してないんですが、『アウトレイジ』が全員、悪い事をしている自覚のある悪い人達だとすれば、『告白』は自分が悪い事をしている自覚がない悪い人達の集まり。どっちが性質悪いって後者に決まってます。はっきり言って胸糞の悪い映画ですよ。ま〜〜観てる間、気分が悪かった。腹が立った。終わった後にどっと疲れた。面白いけど、二度と観たくないと思った。・・・・・・・・それがねぇ、時間が経つと不思議とまた観てもいいかな?ぐらいに思えて来ちゃうんですよねぇ。その辺が中島哲也の手腕なんだなろうなぁ。あの題材をあんなエンターテイメントに仕上ちゃうって、多分、もう1回観ても、観てる間はずっと胸糞悪いと思うんだけど。(笑)
これ、R-15だけど、逆に15歳以下の若い世代の人にこそ観て欲しいかもしれません。ちょっと強烈過ぎて、逆に悪い部分を増長してしまうかもしれないので、賛否ありそうだけど。ガツンと荒療治的な。この映画の若さゆえの危うさが一歩間違えると、どんなに危険かって自覚するのも、今の若いコには必要なのかもしれないなぁ。そういう意味で大変意義のある映画だと思います。主役の松たか子がキャラクターも演技も何から何まで強烈で、彼女の笑い顔は一生忘れられないかもしれない。間違いなく、今年の主演女優賞を総なめすると思います。松たか子は上手過ぎるなぁ。この感じ、香川照之に似てる。でも、松たか子以外もどれも素晴らしい演技だったと思います。木村佳乃はさすがだなぁ。彼女も強烈な役です。この2人の女優の演技は見物ですぞ。岡田将生も役にめっちゃハマってたし。どれもこれも嫌な役だけど、彼の役が一番ウザい。一番、正しい人であろうとした彼の役が一番ウザく感じるっていうのもこの作品の怖い所だなぁ。無自覚な悪の恐ろしさがある意味一番出てるかもしれない。そして、生徒役の子達が皆良かったです。重要な役柄の生徒は3人だけど、それぞれめちゃめちゃ印象に残ります。女の子が超可愛かったなぁ。あんな娘、いたんだって驚いた。中島監督は、『パコと魔法の絵本』の時のアヤカ・ウィルソンといい、この映画の橋本愛といい、凄い逸材を発掘するなぁ。まぁ、彼女達があまりに眩しいのは中島哲也の映像の中にいるからかもしれませんが。

まぁ、観て後悔はしません。楽しい気分になれる映画ではないけどね。そうそう、私はこの映画の予告を殆ど見た事なかったんで、あまりネタバレせずに済みましたが、TVのCMはかなり映画の核心部分が流れてるとか?それを見てても楽しめるとは思いますが、やっぱりまっさらな方がより楽しめると思いますね。私は予告見てなかったので、あっと驚きました。本当に驚いた。(笑)色んな解釈が出来ると思うんだけど、どんな風に捉えても救いが全くないのがこの映画の凄い所かもしれません。いやー凄いわ。やっぱこの映画の感想は凄いの一言で十分かも?(笑)