『タイガー&ドラゴン』 第1話。〜芝浜の回〜

連ドラ化されると聞いたのが1月の末。それから約二ヶ月半もこの第1話が放送されるのを待ち侘びてました。そんだけ長い間、期待を蓄積されるとドラマへの思いは重いに・・・(シャレですか)ま、か〜〜なりの期待をしてたんですよ。キャスト、脚本家、演出、全て大好きな、思い入れも深い人で作られた作品だし。しかし、期待が大きい反面、不安も一杯でした。もし、面白くなかったらどうしよう・・・・と余計な不安も一杯だったんですけど、まぁ〜〜〜これが見事に吹っ飛んでしまったんですよね。すっごい面白かった!!!
第1話の「芝浜」は面白いながらも、クドカンの上手さを再確認出来た話でしたよ。1回目の鑑賞はキャラのバカっぷりや会話の面白さに単純に笑ったんだけど、2回目に見返した時は構成の上手さに唸ったもの。落語の芝浜での騙し事が『大金の入った財布』から『銀次郎』に変わるとは思いもよらなんだ!凄い!!銀次郎が落としたヘビ皮財布はミスリードだったんですね〜〜〜クソー!
他にも唸った所は一杯あるんだけどねー。パッパっと忙しなく場面が入れ替わるんだけど、その変わり目に微妙に繋がりがあって、すんなりと見れるんですよね。この辺は演出の金子文紀氏の手腕も大いにあるんだろうけど。クドカンの作品を何度も映像化してる金子さんだからのこなれた演出だったかな。奇をてらってるようで、無駄なシーンが多いようで必要な場面がきっちりと繋がっているスピード感のある演出でした。
ただ、私が1話を見てすんなりと世界観を受け入れられたのは、正月のスペシャルがあったからだと思います。実はスペシャルの方は初見では全く付いていけなかったんですよね;落語もよく分からなかったし、話が全然繋がらなかったんですよ。でも、今回は落語「芝浜」のあらすじも読んでたし、パターンも分かってたから、とても見易かったんですよ。クドカンの脚本って勢いも大事だから、躓かずに流れに進んでいきたいんですよね。だから、予習していて良かったです。私は頭が固い人間なので、一度躓くと考え込んでしまってそっから先に進めないんですよね;実は一番クドカン作品に向いてない人間なんじゃないかと思ってます。でも好きなんだい。
でも、「芝浜」の落語の内容が分かってても、その落語を思いがけないアレンジでストーリーに取り入れてあるから、その程度ではネタバレにはならないんですよね。私はテレビ誌でリサが銀次郎に惚れるってくだりもネタバレしてたのに、最後までの展開が全然読めなかった。本当にスゲーよクドカン

感心した細かい繋がりとセリフ。

  • 最初の虎児の落語でどん兵衛と竜二の逆ギレのタイミングが同じ(ここで顔は似てないにも程があるけど親子なんだなと再確認。)
  • 時代劇風落語再現劇での竜二の「オメーがオレの女房かよ、小顔だねどうも」(このセリフだけで虎児&どん兵衛夫婦が竜二&メグミ夫婦に変わったのが受け入れられた。)
  • 虎児「苦手なんだよ。それとなく聞けた試しがねぇ」のセリフの後にすぐ(それとなく聞けなかった相手)銀次郎登場。しかもここで既に銀次郎が腕を押さえて刺青を入れた事を描いている(私はねじ式かと思った。)
  • 虎児や林家亭一門を『鳩』と揶揄してバカにした銀次郎に虎児が「女に群がる鳩になるな」と諭した場面(あんなセリフまで伏線だったとは)

ビッときたセリフ。

  • 「殺しませんよぉ〜」(このセリフの為の伊東美咲起用だと思えば)
  • 「じゅげむじゅげむごこうのスリ傷、海砂利水魚のくりーむしちゅう」
  • 「チンコのこと息子って言うみてぇなもんだろ」(下品な上に例えられてないときた)
  • 春風亭昇太に「サラリーマン4コマみたいな顔しやがって」(誰もが何となく感じていた事を見事に言葉にしてくれてありがとう。とぅっきりするっ!)
  • 「べんしょーっべんしょーっ」「足んねぇよー!!」(これは半海さんの言い方に尽きる)
  • 「実の息子にそこまで言うか!」(実の息子だからそこまで言うんだよ!)
  • 「ギンギンって呼んでんだ・・・」
  • 「まだ債権者?」

ツボ。

  • 世紀の大型新人!!林屋亭小虎(看板からはみ出してるわ、妙に黄ばんでるわ、「タイガータイガーじれっタイガー!」ポーズだわ、世紀の『紀』を『記』と書き間違えて書き直してるわ・・・)
  • 熱湯風呂。
  • 広岡由里子
  • 西田敏行の女装。
  • リサのビンタと蹴り(本当に痛そう)
  • 「ブス」メモ。(「たまごブス」「ゆでたまごブス」「ブスチョコ」「ブスムース」「ゴルゴブス」「ブス丼」「ミックスブスタブル」「石の上にもブス」)
  • YOU THE ROCKの無駄な使い方。(贅沢と言おう)
  • 虎児の好きな映画『ミナミの帝王』と『ホームアローン
  • 高座で電話に出る小虎(半海&尾美と一緒に「出んのかよ!」と)
  • シリアスなシーンでジェンガを立て続けに踏むどん太&どん兵衛親子。
  • 竜二に怒鳴られてビクっとなる組長。
  • 酔っ払ったリサの書いたアドレス(象形文字か)


・・・・・書き出したらキリがないや。(苦笑)好きなシーンが多過ぎますよ。何気ない優しさがいいんですよね〜。あんだけ寄席で野次を飛ばしてる尾美としのりが「贔屓の前座がいる」と言ったり、借金をしていた亭主(CKBの人)が虎児の口利きで寄席に働いてたり。リサが言った「大事にするんだ・・・・じゃないや、大事にして貰うんだ」って言葉も好き。今回、リサと竜二のやり取りが凄く良かったですよね。虎児が混じるとおかしくなるんだけど。(笑)
この『タイガー&ドラゴン』でよく言われてるキャストとスタッフが被ってて食傷気味だという批判なんですけどね。私もその意見には同意する部分もあるんですけど(他の目新しいキャストで見たい気もする)前回のSPや今回の「芝浜」を見て、このドラマはクドカンの脚本をきっちりと理解して、それを体現出来る俳優さんでないとダメなんだと確信しましたよ。クドカン作品で役者に求められるは技術ではなく、理解力と表現力だと思うんですよね。あとは会話の間かな?間が凄く大事ですよね。
ポンポンポンっと進んでいく短いシーンでどれだけそのシーンを分かり易く演じるか。そのキャラクターになるか。実も蓋も無い言い方をすると、コントの積み重ねのような。コントのような分かり易さが必要なんじゃないかなと思います。それプラスでコントで終わらないリアリティを出せる・・・・・・これはかなり難しい。今回の『タイガー&ドラゴン』は現代劇に落語劇も重要な役割を持ってるから、増して話がこんがらがると思うんですね。だから慣れてる人でないと難しいんじゃないかな?主役の長瀬智也岡田准一もそういう意味で、この2人でないと虎児と竜二は演じれないんじゃないかってぐらいキャラクターを掴めてると思います。私はなんの文句もありません。『ぶっさんっぽい』とか『マコっちゃんっぽい』とかって言うのは簡単だけど、そんなもん同じ人が演じてるんだから、「〜っぽさ」は出てくるもんだし、「木更津」や「IWGP」「マンハッタン」とは全く違うドラマとして楽しめてる人間からしたら、「だから何?」って思います。〜っぽくったっていいじゃん別に。そんなんより、その人の持ち味が失われる方が嫌だな私は。(これは阿部サダヲにも塚本高史にも言える)
でも、そんな『クドカン常連陣』の中で、重鎮の西田敏行やフレッシュな蒼井優はいつものクドカンドラマに新しい風を吹き込んでくれてるよね。この2人のキャスティングにも随分救われてるんじゃないかな。なんだろう・・・・マニアックさが薄まるというか、ドラマをぐっと茶の間に近付けてるような。あと、何かと賛否両論の多い伊東美咲はハマってると思うので私的には無問題。というか逆にあのアンドロイドのような容姿と話し方を美味く生かせてんじゃないかなー生々しさがなくっていいんだよね。メグミは竜二と虎児の間を引っ掻き回すだけで、シリアスな部分に絡んでこないと思うので心配してないのもあるんだけど。
真面目に描かれるのは竜二&どん太&どん兵衛のの親子関係の確執と、意外な所で竜二と銀次郎の2人の息子の関係なのかな?と思ったり。第1話でやけに仲の悪い竜二と銀次郎の関係が凄く気になりました。なーんであそこまで険悪なんだろ?と。片や親に反抗して稼業を継ごうとしない息子と片や親の言う事を全て受け入れてる息子。そりゃ、仲悪くなるか。虎児が完成された人間(ヤクザとか噺を覚えないとか別にして)なのに対して、この2人は不安定というか未完成というか、欠陥の多い人間なので、これからどんどん成長させていくのかなーー・・・・・・ってこれは塚本君好きの人間の希望的観測なんですけど。(^^;)だってーー竜二は嫌な部分もありつつ優しい所を出してるんだけど、今のまんまじゃ銀次郎はただの嫌なヤツですよ。「嫌な事を言うけどどこか憎めないヤツ」じゃなかったのー;銀次郎は今の所イイとこ無しなんだもーん。このままじゃ悲しいわ。
主題歌については、正直合ってるとは思えないですけど、出演者全員が楽しそうに歌ってる姿を見たら「ま、いいか」って思いました。でも、私はCKBの歌のまんまが良かったな。

何はともあれ、毎週金曜日を楽しみに生きていける3ヶ月になりそうです。



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