『ブラザーフッド』

ブラザーフッド』 ★★☆
製作国:韓国 公開年:2004 配給:UIP 上映時間:148 分
監督:カン・ジェギュ 脚本:カン・ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン/ウォンビン/イ・ウンジュ/コン・ヒョンジン/チェ・ミンシク


いやー金掛かってるのはよく分かるんですけどね。戦争シーンが分かり難かったかなぁ。景色とか撮り方がよく似てるんで、どうしても『プライベート・ライアン』と比べてしまうんですよね。申し訳ないんだけどね。すると明らかに見劣りするんですよねー。改めて、スピルバーグすげーって思いました。そんなにスピルバーグ好きじゃないんだけど。スピルバーグの凄い所は画面が揺れてるのに、何が起こってるか広角的にきっちりと分かる所。これ重要ですよ。あと、悲惨な場面をきっちりと悲惨に見せる所。
プライベート・ライアン』の映像はドキュメンタリーっぽかったんです。だから、本当の戦争に放り込まれたカメラマンの映像を見てるような錯覚に陥るんですよね。本当、自分のすぐ傍で人が死んでるみたいで。ものごっつい怖いんですよ。並のホラーなんて比べモンにならないほど怖いしグロいし。しかも、それが事実なんだから怖い怖い。あれ見たら『わ〜〜〜絶対、戦争行きたくね〜〜〜!!!』って誰でも思いますよ。それは立派な功績じゃないかな。
『ブラザー・フッド』はその辺の描きが弱いんですよ。戦争映画っていかに戦争の不条理さを見せるかに掛かってると思うんですよね。逆に言うと、戦争の不条理さを伝えられないなら、戦争映画を作っちゃダメだと思います。そのぐらい重い題材なんですよね。
監督は『シュリ』の人なんだね〜。この人、ハリウッドにコンプレックスでもあるのかな?やたら、ハリウッド風な作品を作ってるように思うんですけど。『シュリ』も大作って感じで金使ってます感はヒシヒシ感じたけど、話に捻りがなくってイマイチだったしなぁ。この『ブラザーフッド』も脚本を監督が書いてるみたいなんだけど、ちょっといい加減かなって。詰めが甘いというか。本人達が辛い目に合うのも、戦争の不条理さってより、自業自得に見えちゃう所があるんですよね。バカなことするからだよって。
韓国四天王なんて勝手に日本で呼ばれてる韓流男前2人はなかなかいい演技をしてました。この映画はいまいち良いとは思えなかったんだけど、チャン・ドンゴンウォンビンはいいと思いました。人気あるのも分かるかも。
チャン・ドンゴンは迫力があるし、ウォンビンは可愛い容姿に隠されがちだけど、確かな演技力を持ってる人だと思いました。2人とも戦争に行く前と後で表情が全然違うんですよねー。特に前半と後半のウォンビンの表情の変化は凄いですよ。チャン・ドンゴンは写真じゃ全然格好良いと思わなかったのに、動いてる姿はこの映画で誰よりも格好良かったです。
ところでチェ・ミンシクがどこに出てたかさっぱり分からなかったんですが。注意して観てたつもりなんだけどなー。



※※※※※※※※以後ネタバレあり※※※※※※※※

戦争の不条理さが一番出てたのは、イ・ウンジュ(最近自殺して亡くなりました。残念です)演じる奥さんが同胞の韓国人に殺されちゃうシーンかな。あそこは見てて辛かったですね。泣きそうになりました。人間ってなんて愚かなんだろう。でも、あそこだけだったなー。
この後、兄が韓国軍から北朝鮮に亡命して、敵として戦う事になるんだけど、そこまでの経緯が見事に端折られてるから、無茶苦茶な設定に思えるんですよ。朝鮮連盟?のような組織の名簿に名前を書いてただけで、『裏切り者』だと殺された奥さんの事を考えると、韓国軍に所属して多くの朝鮮人を殺していた兄が亡命して、朝鮮兵として戦ってるって設定がどうもおかしく感じるんです。もしかしたら、そんな事実があったのかもしれないけど、私はどうしても嘘っぽく感じてしまいました。それで、結局最後にはまた朝鮮を裏切って、朝鮮兵を殺してた兄って・・・・・・最後は韓国兵でも、朝鮮兵でもなく、1人の人間として、『兄』として戦ったんだろうけど・・・・・・ちょっとねぇ。そんなコロコロ寝返るのもなぁ。
うーん・・・・私はこの映画いまいちでした。でも、面白かった、感動したっていう人の感想は分かりますよ。